夏祭りって、それだけで甘酸っぱい響きがしますよね。
『ブスに花束を。』の第9話は、花と上野君が二人きりで夏祭りに行くことになってしまった回でした!
二人はちゃんと楽しい時間を過ごすことが出来たのか?
(多くは望まないけど)何か進展があったのか?
花と上野君の夏祭りでは何が起こったのか、ネタバレ全開で感想と考察を書いていきたいと思います。
- 花と上野君の甘酸っぱい夏祭りの一夜
- 二人の心の距離が少しずつ近づいた理由
- 「恋」の一歩手前にある繊細な感情の交差点
上野君の感情が忙しい!
クラスメイトたちを夏祭りに誘った陽介。すると唯一、予定が空いていた花が誘いに乗り、2人きりで行くことが決まる。当日、男女2人という状況に緊張しながら、夏祭り会場を見て回る花と陽介。その最中、2人は陽介の中学時代のクラスメイトたちに遭遇する。花のことを彼女だと思い、陽介のことをからかう元クラスメイトたち。さらに、彼らは花の容姿を馬鹿にするような発言をして……。
『ブスに花束を。』公式サイトより
今回の見どころは、何といっても上野君の忙しい感情です。
当日は思いがけず、他のメンバーが次々と用事で来られなくなり、結果的に花と上野君の二人きりに。
二人きりということにパニックになって、弟の圭介に「夏祭り、3人で行かない?」と慌てて提案する姿も可愛かったですね。
彼もパニクることがあるのかと、ビックリしました。
弟君に「それ、僕いる?」と冷静に突っ込まれた場面には、クスッとしてしまいました。
結果的に「二人きり」ということを、事前に花に伝えた方がいいのかずっと悩んでいる姿は微笑ましいです。
結局、何も言わず待ち合わせ場所で悶々と待っている上野君の前に、浴衣姿の花が登場した時の表情も見逃せません。
もう、ここに来るまでに、上野君の感情はジェットコースターです!

いざ歩き始めると、上野君は花の無表情が気になります。
「(僕と二人きりは、イヤなのかな?)⋯」と不安に思う姿に、「なんていい子なの!」と思ってしまったのは本音です。
花からプリクラに誘われて「(良かった⋯二人でいるのがイヤなわけじゃないんだ!)」と安心したのも束の間。
「うん!俺でよければ!」の言葉にかぶせる、花の「良ければ、上野君おひとりでどうぞ!」の無情な一言⋯。
いや~、謙遜もここまでくると、逆に攻撃力が高いですね。
謙遜気味の女の子は、一度考えた方がいいと思います!
プリクラ場面の「カワイイ」は、楽しい時間を一緒に過ごしたいという「いい子」の上野君の気配りの一言です。
まだ「楽しいね!」という感情です。
(それより、人気者の上野君がプリクラ初体験ということの方が衝撃です!)
でも次の、りんご飴をガブっとかじった花を見て、「田畑の唇、キラキラしてる⋯」という素直な感想を口にした上野君の無意識には、花が「女の子」としてしっかりと根付いていく様子が感じられます。
男の子にとって、女の子のキラキラ唇は、本能に響くものなのでしょうね。

ただのクラスメイトから大切な存在へ
いろいろと屋台を楽しんで回っている二人の前に、上野君の中学時代のクラスメイトが声をかけてきます。
まだクラスメイトの花と夏祭りを楽しんでいる上野君は、気軽にあいさつを交わします。
花がお面を外し、「こ・こんにちは」とあいさつすると、中学時代のクラスメイトは何か言いたげに「ふ~ん、どうも」と返事をします。
それだけでも、失礼な態度を隠そうともしない三人組にイラっとしますが、そこで空気を読んで「私、外しますね。」と、サッと外せる花は大人です。
自分がいることで、彼の友人関係に波風を立てたくない。
その行動の裏には、「私はお邪魔かも」と身の置き所の無い思いと、「久しぶりに会ったのなら、楽しい時間を過ごして欲しい。」という相手を気遣う思いが折り重なっているようでした。
でも、高校生には「ノリが悪い」と受け取られてしまうのですね⋯。
上野君はそこで、非難された花のことを「田畑は気にしいだから、遠慮してんだよ。」とかばいます。
彼としては、花の「人となり(性格・人柄・人間性)」を理解し、日頃の態度を評価しているから言えた真っ当な意見です。
(上野君、本当にいい子!人の本質をキチンと見ることが出来る、まっすぐな心を待っています!)
そこで「もしかして、彼女?」とからかわれた時には、顔を赤くして「ち・違う」と照れていた上野くんですが、「もっと可愛い子はいなかったのかよ~。」と失礼極まりない一言を言われブチ切れます。
キッとした顔で「やめろよ。俺は、好きで田畑と一緒にいるんだ!」
もう、「よく言った!」と、テレビの前で拍手喝采です!
花の腕を掴んでズンズンと歩きながら、「田畑のこと、何も知らないくせに!」と、心の中で叫びます。
こんなに感情が激した上野君を見るのは、初めてです。
それだけ、花のことを大切なクラスメイトだと認識していたのでしょうね。
まだ、この時点では、「ただのクラスメイト」から「大切なクラスメイト」に格上げ分類されているだけです。
でも、無意識の中では「尊厳を守るべき大切な人」として認識されていると思います!
ひとりの人間として向き合って

「あの上野君。一旦戻ってみませんか?」という花からの提案で、我に返る上野君。
「私が何か失礼なことをしていたなら、本当にごめんなさい。」という花の言葉で「あれ?失敗した?」と冷静になります。
ここで「一番傷ついているのは、田畑なのに⋯」と思いやれる上野君も、「上野君は、お友達さんのところに。」と言える花も、二人とも素晴らしいです!
その言葉は、強くて、まっすぐで、どこまでも人間らしく、やさしい。
もう、ずっと応援できます!
二人とも、そのまま素直に・少しずつ大人になって!と思ってしまいます。
ここで、花火がいい仕事をしてくれています。
この場面は説明すると野暮になるので、是非本編を見てください。
花火の光に照らされた花の横顔を見ながら湧きあがる、上野君の心の中の声は、ドラマが動き始めたことをハッキリと教えてくれます。
恋と呼ぶにはあまりに繊細で、まだハッキリとした言葉にはできない。
でも、その心の揺れこそが、確かな変化の始まりなのです。
「上野君、感情がいっぱい動いて、いい時間を過ごせたね!お疲れさま!」と言ってあげたいです。
ん~。夏祭りって、どうしてこんなに甘酸っぱいのでしょう!
花の感情は?
今度は、花の感情を見ていきましょう。
いつもと変わらない安定の花ですが、ちょっぴり成長も感じられます。
「いても、いいのかな」と思いながら

花は、ただ「みんなで行く夏祭り」に参加するつもりでした。
「優しいクラスメイト達の和の中にいてもいいんだ」という安心感を感じられるようになっていた花。
そういう、小さな変化の延長線上にあった、今回の夏祭りだったのでしょう。
でも当日、集まったのは上野君と自分だけ。
「二人きり」という事実を知らされたとき、花の心にはどんな波が立ったのでしょうか。
花の心には常に「私なんかが一緒にいていいの?」という不安が渦巻いています。
「それでも、約束は約束だから⋯」「お母さんが、折角浴衣を着せてくれたことだし⋯」それに「ここで帰ると上野君が一人になってしまう⋯」
そんな律儀さと、様々な感情が渦巻いていたと思われます。
そして、ほんのわずかだけ、「誰かと夏祭りに行ける」という嬉しさが、胸の奥で光ったのかもしれません。
けれどそれは、あくまで“誰か”であって、“上野君と”ではない。
花にとって、誰かと一緒にいていいという確信は、まだ遠く、薄く、そして脆いのです。
「私が、邪魔をしてしまったかもしれない」

中学時代のクラスメイトに出会ったとき、花は何かを“察して”行動します。
直接、何かを言われたわけではありません。
でも、視線の温度、空気のざらつき、会話の奥にある“沈黙の声”――そういうものに、花はとても敏感です。
だから、「私、外しますね。」と自分から離れる。
それは、彼らの態度が“不快”だからではなく、「自分がここにいていいのか」という問いに、またもや不安を抱いてしまったから。
上野君が、迷惑に思っているかもしれない。
こんな自分の存在が、彼の夏の思い出に傷をつけてしまわないか。
その思いが、行動よりも先に彼女の心を支配していたのでしょう。
そんなふうに、誰かの気持ちを優先しすぎて、自分をどんどん後回しにしてしまう。
それは、花が抱える根深い自己否定であると同時に、とびきりのやさしさでもあるのです。
「戻りませんか?」という言葉にこめた気持ち
彼女には、上野君が自分をかばったことも、怒った理由もわかりません。
だからこそ、あの「戻りませんか?」という言葉には、彼女なりの誠実さが滲んでいます。
空気を壊したとしたら、それは自分のせいだと思っている。
そして、「戻ることで、彼がまた笑えるなら」と願っている。
そう、花は“何も知らないまま”、ただ真面目に、誠実に、自分の立場を見つめ直しているのです。
これは、自己肯定感の芽生えではなく、むしろ“わからなさ”の中で、相手を思いやる選択。
自分の気持ちではなく、相手の居心地を優先する、そんなやさしさの延長です。
花火を見上げながらの「私もです」

「田畑とまた花火が見られてよかった。」
そう言った上野君の言葉に、花は「私もです。」と、ただ静かに応じます。
それは“好き”でも“特別”でもない、でも、“一緒にいられてよかった”という、かけがえのない今への返事。
そこには、余計な解釈を挟まない、まっすぐな心があります。
自分がどう見られていたかも、どう思われていたかもわからない。
それでも、「今、キレイな花火を一緒に見られてよかった」と思える気持ちは、彼女にとって奇跡のようなものです。
他者のまなざしにおびえながらも、そこに“私がいていい”と一瞬でも感じられたなら――
それは、彼女の人生にとって、とても静かで、大切な出来事だったのかもしれません。
花の心は、まだ揺れているだけ
恋ではない。トキメキでもない。
いや、淡いトキメキはあっても、そんな感情を「自分が持ってはいけない!」と思い込んでいる。
それでも、心が少しだけあたたかくなった気がして、なぜか胸の奥がふわっとしたものに包まれた。
それが、花の側から見た“あの日の花火”だったのだと思います。
彼女が少しずつ成長していく姿を、長~い目で見守っていきたいと思います。
『ブスに花束を。』第9話「キミと花火が見たい」夏祭りはやっぱり一大イベント!のまとめ
『ブスに花束を。』第9話は、何かが始まりそうで、まだ始まらない──そんな一夜の記憶。
ただ「一緒に夏祭りに行った」という出来事の中に込められた、たくさんの豊かな感情と成長。
二人きりで夏祭りに行く緊張感と、少し弾んだ気持ち。
大切なクラスメイトのことを馬鹿にされて、思わず湧きあがった激しい感情。
お互いに相手の立場を思いやり、それを行動に移せる二人の誠実さ。
そして、かけがえのない時間を共に過ごすことが出来たという、キラキラとした思い出。
──この物語が描くのは、恋よりも少し手前の、“心が交わる瞬間”。
お互いを、ひとりの人間として尊重し合う姿に、心が温まります。
その繊細な交差点を、あなたも見届けてみませんか?
- 『ブスに花束を。』第9話の夏祭り回を深掘り
- 上野君の感情の揺れと成長に注目
- 花のやさしさと自己否定の葛藤が描かれる
- 無自覚な恋と繊細な心の変化が交錯する一夜
- 「大切なクラスメイト」という関係性の深化
- 中学時代の友人との対峙で見えた上野君の本音
- 「私もです」に込められた花の小さな変化
- 恋の始まりではなく、“心が交わる瞬間”を描写
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